税額控除の種類と計算方法
税額控除とは、課税標準額に税率を乗じて算定した住民税(市県民税)所得割額から、一定の金額を控除するものです。
調整控除
所得税と住民税(市県民税)は、どちらも納税義務者の課税所得金額を元に税額を計算しますが、その計算に使用する所得控除のうち、「人的控除」とよばれる8種類については、所得税と住民税(市県民税)の控除額に違いがあります(所得税の控除額の方が住民税(市県民税)の控除がより大きい)。そのため、住民税(市県民税)の課税所得金額(税率をかける前の金額)は、所得税の課税所得金額よりも大きくなります。
また、平成19年度より、所得税の税率が引き下げられ、住民税(市県民税)の税率が引き上げられました。それにより、所得税と住民税(市県民税)を合わせた負担額が平成18年と比べて増えてしまう場合があります。そのため、所得税と住民税(市県民税)を合わせた負担額が平成18年と変わらないように調整するための控除が新設されました。この控除を「調整控除」といいます。
※納税義務者の合計所得金額が2,500万円を超えた場合、調整控除は適用されません(令和3年度課税分から)。
(調整控除の計算式)
1.住民税(市県民税)の合計課税所得金額(※1)が200万円以下の方
控除額=次の1と2のいずれか小さい額×5%
1.人的控除額の差の合計額
※人的控除の差は「人的控除額の差の合計額の求め方」参照
2.住民税(市県民税)の合計課税所得金額(※1)
2.住民税(市県民税)の合計課税所得金額(※1)が200万円超の方
控除額={人的控除額の差の合計額-(住民税(市県民税)の合計課税所得金額(※1)-200万円)}×5%
※人的控除の差は「人的控除額の差の合計額の求め方」参照
(※1)「合計課税所得金額」とは、課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額の合計額をいいます。ただし、株式や土地の譲渡による所得など、分離課税の対象となるものは含みません。
人的控除額の差の合計額の求め方
人的控除額の差の合計額は、納税義務者に適用されるそれぞれの所得控除ごとに、別表「住民税(市県民税)と所得税の人的控除額の差」の「人的控除額の差」を合計した額となります。ただし、合計する人的控除額の差は、住民税(市県民税)の税額の計算に適用される控除に限ります。
住民税(市県民税)と所得税の人的控除の差 (PDFファイル: 50.3KB)
(手続き等)
住民税(市県民税)の税額の計算において、該当する所得控除(人的控除)が適用される場合、調整控除も自動的に適用しますので、調整控除に関する申告等は不要です。
なお、住民税(市県民税)所得割の税額が0円で、住民税(市県民税)均等割のみの方は、調整控除の適用はありません。
配当控除
配当所得がある方が、申告の際に総合課税を選択した場合は、次の式で求める配当控除額が住民税(市県民税)の税額から控除されます。
※配当控除の対象とならない配当所得もあります。
課税総所得金額等(※) | 1,000万円以下の部分 | 1,000万円超の部分 | |||
市民税 | 県民税 | 市民税 | 県民税 | ||
利益の配当等による所得 | 1.6% | 1.2% | 0.8% | 0.6% | |
証券投資信託等の収益の分配による所得 | 外貨建証券投資信託以外 | 0.8% | 0.6% | 0.4% | 0.3% |
外貨建証券投資信託 | 0.4% | 0.3% | 0.2% | 0.15% |
※課税総所得金額等とは、課税総所得金額、上場株式等に係る課税配当所得の金額、土地等に係る課税事業所得等の金額、課税長期(短期)譲渡所得金額、一般株式等に係る課税譲渡所得等の金額、上場株式等に係る課税譲渡所得等の金額、先物取引に係る課税雑所得等の金額をいいます。
(手続き等)
該当する配当所得がある場合、住民税(市県民税)の税額の計算において、配当控除も自動的に適用しますので、配当控除に関する申告は不要です。
住宅借入金等特別控除
所得税で住宅借入金等特別控除の適用を受け、かつ所得税で控除しきれなかった控除可能額がある場合は、翌年の住民税から控除します。
(計算方法)
次の1または2のいずれか小さい金額
入居年月 | 控除額(次の1と2のいずれか小さい額) |
---|---|
(1)平成21年1月から 平成26年3月まで |
1.所得税の住宅借入金等特別控除額のうち所得税から控除しきれなかった額 2.所得税の課税総所得金額等の5%(最高97,500円) |
(2)平成26年4月から 令和3年12月まで(※1) |
1.所得税の住宅借入金等控除可能額のうち所得税から控除しきれなかった額 2.所得税の課税総所得金額等の7%(最高136,500円) |
(3)令和4年1月から 令和7年12月まで(※2)(※3) |
1.所得税の住宅借入金等特別控除額のうち所得税から控除しきれなかった額 2.所得税の課税総所得金額等の5%(最高97,500円) |
(※1) 住宅の取得等の対価又は費用の額に含まれる消費税の税率が8%または10%の場合であり、それ以外の場合は(1)の控除額となります。
(※2) 令和4年中に入居した方のうち、住宅の取得等の対価または費用の額に含まれる消費税等の税率が10%かつ一定期間内に住宅の取得等に係る契約を締結した場合は(2)の控除額となります。
(※3) 令和6年以降に建築確認を受ける新築住宅のうち、省エネ基準に適合しない住宅は控除の対象外となります。
(控除期間)
控除期間等については、契約期間や床面積、合計所得金額等要件があります。
控除額や控除期間について詳しくは国税庁ホームページをご確認ください。
国税庁HP 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
国税庁HP 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)
(住民税(市県民税)の住宅借入金等特別控除の対象とならない場合)
・所得税から住宅ローン控除額を全額引ききれる場合
・住宅ローン控除額を適用しなくても所得税がかからない場合
・住民税(市県民税)所得割がかからない場合 など
(手続き等)
1.住宅借入金等特別控除をはじめて受ける方
税務署で確定申告(※4)をし、所得税の住宅借入金等特別控除の適用を受けてください。別途、市への手続きは不要です。
2.住宅借入金等特別控除を受けるのが2年目以降の方
税務署で確定申告(※4)又は勤務先での年末調整により所得税の住宅借入金等特別控除の適用を受けてください。別途市へ申告する必要はありません。
(※4) 平成30年度分以前の申告について控除の適用を受けるには、該当年度の納税通知書が送達されるまでに確定申告書を提出する必要がありました。税法改正により、平成31年度(令和元年度)分以後は、この取扱いは不要になりました。
寄附金税額控除
(対象となる寄附金)
1.都道府県又は市区町村に対する寄附金(ふるさと納税)
2.住所地の都道府県共同募金会・住所地の日本赤十字社支部に対する寄附金
3.所得税の控除対象寄附金のうち都道府県又は市区町村が条例で指定する寄付金
※大竹市が条例で指定する寄付金はありません。
(計算方法)
寄附先 | 控除額 |
---|---|
都道府県・区市町村 (ふるさと納税) |
「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が適用される場合 (ア)(寄附金額-2,000円)×10% |
「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が適用されない場合 (ア)(寄附金額-2,000円)×10% |
|
住所地の共同募金会 住所地の日本赤十字社支部 |
(寄附金額-2,000円)×10% |
広島県が条例で指定する寄附先 | (寄附金額-2,000円)×6% |
(住民税(市県民税)の課税総所得金額※1)-(人的控除差調整額※2) | 割合B (※3) |
割合C |
---|---|---|
0円以上195万円以下 | 84.895% | 84.895分の5.105 |
195万円超330万円以下 | 79.79% | 79.79分の10.21 |
330万円超695万円以下 | 69.58% | 69.58分の20.42 |
695万円超900万円以下 | 66.517% | 66.517分の23.483 |
900万円超1,800万円以下 | 56.307% | 56.307分の33.693 |
1,800万超4,000万円以下 | 49.16% | |
4,000万円超 | 44.055% |
※1 課税総所得とは、分離課税される所得(土地・建物・株式の譲渡所得など)を除いた各種所得の合計額から所得控除の合計額を控除した残額です。
※2 人的控除差調整額とは、所得税と人的控除額と住民税(市県民税)と人的控除額の差額の合計です。
※3 所得税における所得控除の適用状況により、所得税と住民税(市県民税)の適用割合の合計が90%にならない場合があります。
(ふるさと納税ワンストップ特例)
都道府県、市区町村に対する寄附(ふるさと納税)を行う場合に、ふるさと納税先の自治体に寄附金税額控除に係る申告特例申告を行うことで、確定申告を行わなくても、ふるさと納税について市県民税の寄附金控除を受けることができる制度です。この場合、所得税分および住民税(市県民税)分の税額控除額は、全額住民税(市県民税)所得割から控除されます。
なお、大竹市では控除対象となるふるさと納税の上限額についてはお答えできません。上限額については、総務省ホームページをご確認いただくか、各ふるさと納税サイトの計算シュミレーションをご利用ください。
外国税額控除
日本の所得税及び住民税(市県民税)においては、所得の生じた場所が日本国内であっても、海外であっても、その方の所得のすべてが課税の対象となり、日本の法令に基づいて課税がおこなわれます。
しかし、同じ所得が日本以外の国の所得税や住民税(市県民税)に相当する税の対象となる場合もあります。その場合、日本と日本以外の国で二重課税になりますので、一定の方法で日本以外の国での課税額を日本での税額から控除します。
外国税額控除は、まず所得税から行います。所得税から控除しきれなかったときは、県民税所得割から控除し、さらに県民税からも控除できなかった場合は、市民税所得割からの控除を行います。外国での課税額全額を控除できるわけではなく、所得税・県民税所得割・市民税所得割ごとに控除限度額が定められています。
(手続き等)
外国税額控除の適用を受ける場合は、確定申告書又は市県民税申告書に「外国所得税等の額の控除に関する明細書」を添付し提出してください。
配当割額・株式等譲渡割額の控除
一定の上場株式等の配当所得や、「源泉徴収あり」を選択した特定口座内の上場株式等に係る所得については「住民税(市県民税)配当割」・「住民税(市県民税)株式譲渡所得割」として、他の所得と区分する「分離課税」が行われます。この場合、配当の支払者や譲渡の対価の支払者が税額を計算し、配当や譲渡の対価を支払う際に天引き(特別徴収)しています。
これらに該当する所得は、特別徴収(天引き)が行われた時点で課税と徴収が終了しているため、原則として申告は不要です。しかし、納税義務者の選択により申告を行った場合には、それらの所得を含めて住民税(市県民税)の税額を計算します。その場合、すでに天引き(特別徴収)されている「住民税(市県民税)配当割」・「住民税(市県民税)株式譲渡所得割」が二重課税になりますので、特別徴収(天引き)された住民税(市県民税)を税額から控除します。
(手続き等)
確定申告書又は市県民税申告書に、特別徴収(天引き)された配当割額や株式譲渡所得割額に関する必要事項を記入してください。
更新日:2025年04月01日